アド・アストラ

タイトルの「Ad Astra」はラテン語で「星々へ向かって」という意味。
予告やポスターを見てインターステラーやコンタクトとかのセンスオブワンダーの塊みたいなエモい系SF映画を期待すると肩透かしを喰らうこと間違いなし。
これはSF大作の皮を被ったこじんまりとした文芸寄りの映画です。
「星々へ向かって」どころかひたすら自身の内へ内へと向かっていきます。

【あらすじ】
16年前、深宇宙の探索ミッションに旅立ち海王星付近で消息を絶った父親(宇宙人ジョーンズ)を宇宙飛行士の息子(ブラピ)が探しにいくSF映画。
地球では突如発生したサージと呼ばれる磁気嵐の影響で世界規模の大惨事が起きていた。
宇宙軍はサージの原因が海王星で消息を絶ったクリフォードによるものだと推測し、息子のロイに彼を止めるミッションを課す。

上映時間のほとんどが餌をもらえない犬みたいなショボくれた顔したブラッド・ピットのドアップと独白で埋め尽くされています。
たまに唐突なアクションやSFホラーっぽいシーンが挟まれますが映画全体の印象は本当に地味。
世界一の宇宙飛行士(という設定)のブラピはおよそ宇宙飛行士に適性があるとは思えないナイーブさ。

途中からこれSFじゃなくて宇宙を舞台にした文芸映画なんだなーと気づきます。
父子関係や人と人との繋がりを描くことに主眼があり、SF要素はおまけ程度です。
そう思って観るとなかなか味わい深い映画のような気がしないでもないですが…
雰囲気的にはガタカなんかに近いですがあれほど考えさせられる内容かというと…うーん

映像は外連味が無くスッキリして美しいです。

脚本がなかなか雑なので優等生のような作品とはとてもじゃ無いけど言えませんが、宇宙探査の孤独感と負の側面がうまく表現出来ているのでなんか嫌いにはなれないです。
息子ブラッド・ピットと父親トミー・リー・ジョーンズの演技も他の粗を忘れるくらい沁みます。
派手なVFX満載のドンパチ映画に飽きた人はぜひ。
宇宙映画なのに劇場の大スクリーンよりも深夜に自宅のテレビで観る方がしっくりくる映画です。

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