ドリーみたいな障害を患うもの、復讐をする
【映画について】
ノーラン監督がダークナイトやインセプションで知名度が上がる前の作品
【あらすじ】
レニーは、ある出来事をきっかけに妻を失うと共に、前向性健忘(発症以前の記憶はあるものの、それ以降は数分前の出来事さえ忘れてしまう症状)という記憶障害を患ってしまう。妻の死が最後の記憶となったレニーは、自分に宛てられたメモや写真を頼りに犯人の手がかりを追っていく。
【レビュー】
ネタバレ注意!
ノーラン監督ファンなので評価の偏りありますが、映画をただ観るのではなく、「体験する」という意味では最高っす。
この映画の主人公、数分前のことすら忘れてしまうのです。10〜15分ぐらいのシーンを、逆の順番で見せらるため、観る側も主人公と同じく、数分前の出来事がわからない状態。結末は序盤に出ていますが、それでも謎が多く、映画が進む(タイムラインが遡る)に連れて真実が明かされていきます。一方で、主人公は自分と同じ障害をもつサミージャンキスという人物について、電話で何者かと話していますが、これが前に進むタイムラインになります。遡るタイムラインと前に進むタイムラインが順番に見せられることで、観る側が物語に付いていけます。
周りの人はどこまで真実を言っているのか、また妻はあの事件で本当に死んでいるのか、観る人によっては解釈は様々です。そこはインセプションと似ているかなと思います(レオ様は子供に会えたの?それとも会う夢を見てたの?という議論)。どう解釈するかは個人の自由ですが、この映画、インセプションとかインターステラーと比べると予算は高くないはずなのにインパクトあるなぁと思います。映画は、内容も大事ですがそれをどう演出するかも大事になってきます。タイムラインがゴチャゴチャなのは、ダンケルクと似ていて、何だろう…何が起きてるんだろつ…と思いながら観てしまうので飽きないです。
ミステリー映画として満点です。それ以上に見ていた辛いドラマでもあります。主人公が言ってたことも心に響くなぁ…時間(記憶)が止まってしまった自分は、どうすれば心に傷を癒やすのだ…(T_T) そりゃそうだよな…最後の記憶が妻の死だもんな…辛いな…
監督2作目にして作家性が存分に発揮されてる傑作ですね。
時系列いじりとか意識の連続性とか後の作品にも出てくるギミックがすでに詰まっててて今見ても驚かされます。
また、「幻想を満たす」べきか?という問いもノーラン作品に共通の問いも提示されてる気がします。
「テネット」は時空操作?みたいなSFギミック部分だけでなくそこから描かれるテーマにも期待したいですね!