午前十時の映画祭FINALで鑑賞。
黒澤明の代表作。
「助っ人もの」として完成された脚本は黒澤の意向を無視してハリウッドが映画化したことでも有名。
【あらすじ】
麦の刈入れが終わる頃。とある農村では野武士たちの襲来を前に恐怖におののいていた。百姓だけで闘っても勝ち目はないが、麦を盗られれば飢え死にしてしまう。百姓たちは野盗から村を守るため侍を雇うことを決断する。やがて、百姓たちは食べるのもままならない浪人たち7人を見つけ出し、彼らとともに野武士に対抗すべく立ち上がる……。
【感想】
なんと言っても目を引くのが三船敏郎演じる「半侍」の菊千代!
立ち位置的にはトリックスターですが三船の存在感が強すぎて完全に他キャストを食ってます笑
個人的には主演を務めた用心棒シリーズよりハマり役。
凄腕の剣客久蔵もしびれるほどカッコいい!
後の活劇作品のヒーローのテンプレのひとつになってます。
しかし7人のうち3人は初見では見分けが付かないこと必至です(白黒なのでなおさら)
ストーリーは基本的にはベタなエンタメですが身分の違いによる社会的格差についても描いています。
格差というと「パラサイト」が記憶に新しいですが、パラサイトが「現代の韓国らしさ」を前面に出して受けた一方で本作は時代劇ということもあって特定の国に限定されない無国籍的な雰囲気が受けた気がします。
侍や刀は「日本らしさ」の象徴でオリエンタリズムの対象だけど作中の社会の仕組みはパラサイトよりずっと単純で普遍的です。
だから時代と場所を変えた作品が作られて受けてるんでしょうね。
話の面白さはもちろん、映像も凄まじいです。
撮影のためにわざわざ村一つ作ってます。
クライマックスの豪雨の中での決戦は圧巻。
あらゆる映像が描けるようになってしまった現代では作れないロストテクノロジーの迫力と魅力があります。
編集の甘さ、ぶつ切りの音楽、何言ってるか聞き取れないセリフetc….
今見ると荒削りなところはあるけどそれほど気になりません。
技術の差が映画の面白さの差に直結しないということを教えてくれます。
本当に活劇映画として完成された傑作だと思います。
でも観賞後は「面白かったな〜」で終わらず菊千代や官兵衛、百姓たちの台詞の意味について色々考えてしまいます。