テネット観てから観たらめちゃめちゃ面白かった!
マジックに取り憑かれた男たちの愛憎と壮絶な嫌がらせ対決!
【あらすじ】
19世紀末のロンドン。才能と野心に溢れた奇術師見習いのボーデンとアンジャーはマジックの腕を競い合っていた。ある晩、マジック中の事故でアンジャーの妻が死んでしまう。アンジャーは妻の死がボーデンのせいだと考えボーデンへの復讐を誓う。一方ボーデンは天才的な発想で奇術師としての名声を上げていく。魔術のようなボーデンのマジックを不審に思ったアンジャーはボーデンのメモを手がかりにアメリカへ渡る。
【感想】
やっぱり傑作だこれ。
ノーランのキャリアの中でもかなり地味なイメージあるけどめちゃくちゃ面白いし完成度が高い。
終盤に出てくるとんでもないトリックが批判の的になってる気がするけど回転扉くぐった後じゃ可愛いもんです。テネット観賞後のなんでもこい!状態で観たら人物描写やストーリーの丁寧さがビシビシ伝わってきました。
ヒュー・ジャックマンはほんと嫌な奴の役が似合うなぁ笑。アンジャーはあの手この手でボーデンを引き摺り下ろそうと奮闘します。それに負けじとボーデンも嫌がらせの限りを尽くします。2人ともクソ野郎過ぎておもわず笑っちゃいます。
クリスチャン・ベールは比較的抑えた演技だけどステージと家庭の二重生活を見事に演じ分けてます。ベールの演技ははもっと評価されてもいいと思う。他のキャストもすごく映画の雰囲気にマッチしてます。
時系列シャッフルやミスリーディングな演出もあって2回観て理解するパズル的な楽しみ方もできるけど、それだけでなく作品のテーマについてもしっかり考えさせるような内容になってるのは流石です。
二面性のある人物を描いていたり、嘘の価値について掘り下げたりするのは他のノーラン作品に通じるところがあるし、マジックというモチーフには映画作りに対する監督の考えが反映されてるような気がして興味深いです。
あとは世紀末ロンドンのダークな雰囲気やファッション、デヴィッド・ボウイ演じるニコラ・テスラの怪しさも魅力的。
そして主役の「2人」の関係が美しくも友情でもないけどエモい。陳腐な表現だけどエモい。少なくとも最後にポカーンとはならないくらいしっかりと人間同士の関係を描いてます笑。
演出や演技やトリック全部含めてよく出来たマジックを見た後のような満足感が残る映画でした。
議論の的であるトリックについては、こうぶっ飛んだ反則技を見せられると案外トリックそのものは気にならなくなります。
劇中のマジック論でも言ってるようにタネが何であるかは割とどうでもよくて、そこから導かれるプレステージ(偉業)に拍手したくなっちゃいます。
テネットみたいな凝りに凝ったタネに観客が釘付けになってしまう映画も面白いですけどね。
まあ面白い話をノーラン兄弟がうまく料理したら面白くなるよな。
複雑奇怪なオリジナル企画やるのもボンド映画撮るのもいいけど数本に1本はこういう原作付きの映画作ってもいいんじゃないかなと思います。